「Carbon Mileage」は、テキサス州ヒューストン発のベンチャー企業であり、航空機利用者が炭素排出に配慮した選択をするようインセンティブを提供し、持続可能な航空エコシステムの構築を目指しています。現在、Moon Creative Labでインキュベーション中のCarbon Mileageチームは、航空業界における脱炭素化への理解を深め、次のアクションを計画するための短期スプリントを実施しました。

先日、Moonのチームはインキュベーションプログラム「Boost」に選出されたベンチャーの1つである「Carbon Mileage」とセッションを行いました。パロアルトスタジオで開催された2日間のワークショップを通じて、私たちはチームが解決しようとしている課題、すなわち「航空業界における脱炭素化の促進(インセンティブの付与)」について深く掘り下げました。
たった2日間というのは無謀な目標に思えるかもしれません。私たちにとっては、こうした短期間に区切られた環境こそが力を発揮できる場所です。同じ課題に対して何度も不必要に時間をかけるのではなく、2日間という枠組みを設けることで、チームは素早く決断し、自信を持って必要なすべてのステップを描き出すことができました。
ワークショップの開始前に、チームはこの2日間で達成したい4つの主な目標を設定しました。
どのようなプロジェクトであっても、解決策を特定する前に、チーム内で明確なプロブレム・ステートメント(課題定義)の目線合わせを行うことが重要です。課題を明確に定義することで、適切なリサーチを通じて様々な解決策を探求し、自信を持って最適なソリューションを実行する準備が整います。
「Carbon Mileage」は、彼らの明確なプロブレム・ステートメントを「どのようにすれば、航空機利用者を脱炭素化の取り組みに巻き込むことができるか?」と定義しました。これは、「インセンティブプログラムの構築」というアイデアに固執していた当初のステートメントから進化したものです。
当初の課題定義は、チームが脱炭素化の取り組みをもっと幅広く探求できる可能性に対して、少し視野が狭く閉鎖的に感じられました。「インセンティブプログラムの構築」という単一の課題から、「顧客をどのように巻き込むか」というより広い視野へと切り替えたことで、チームは考え得る解決策についてさらに深く思考を巡らせることができるようになりました。
プロブレム・ステートメントを定義した後は、最も大切なステークホルダーが誰かを分析することが重要です。これは、Carbon Mileageのプログラムのターゲット層であり、彼らのソリューションに関わるすべての人々を指します。チームは、航空会社、航空機利用者、旅行手配者、持続可能な燃料サプライヤーという4つの主要なステークホルダーを洗い出しました。
ステークホルダーを特定するだけでなく、彼らが特定の行動をとったり、特定の購買決定を下したりする動機(モチベーション)を明らかにし、彼らをさらに深く理解することが重要です。重要な動機を明確にすることで、「Carbon Mileage」はこの情報を活用してターゲットユーザーのエンゲージメントを高め、課題に対する解決策を探求できるようになります。

ユーザージャーニーとプロダクトの仮説をすり合わせることで、ターゲット層の体験(ジャーニー)のどの段階にCarbon Mileageを導入するのが最も効果的かを視覚的に把握することができました。
チームはまず、「Carbon Mileageは旅行者にどのようなリワード(報酬)を提供できるか?」を探求しました。優先搭乗、トラベルステータス、サステナブルな商品と交換できるポイント、追加の航空マイルなどのアイデアが出ました。次に、それがどのように二酸化炭素排出量の削減に結びつくかを探求しました。ここには、1年間の旅行の排出量を相殺するためのカーボンクレジットの購入や、燃料使用量を減らすために荷物を軽くして旅行する、といったアイデアが含まれました。
こうしたアイデアをすべて書き出すことも重要ですが、アイデアをさらに具体化させるのは、チームが理想的な解決策だと感じる方向性を明確に描くための「コンセプトカード」の作成です。アイデアのプロトタイプを作成することで、チームはアクションを起こす前に、その可能性を自信を持って視覚化することができます。

これらのコンセプトカードをもとに、チームはこれまでの仮説によるリスクを軽減(de-risk)するためのユーザーリサーチ・ガイドを作成しました。Moonのチームメンバーから早期にフィードバックを集めることで、「Carbon Mileage」チームはワークショップ期間中にプロダクトの方向性を決定することができました。
このユーザーテスト体験でユニークだったのは、「Carbon Mileage」のチームメンバーが初めて、自社プロダクトに関する「誘導尋問(リーディング・クエスチョン)」を避け、「オープン・クエスチョン(自由回答形式の質問)」を投げかけたことでした。
リーディング・クエスチョンとは、「プロダクトクレジットで報酬が得られるなら、荷物を軽くしますか?」といったものです。それに対しオープン・クエスチョンは、「飛行機での旅行と聞いて、最初に思い浮かぶことは何ですか?」といった質問になります。誘導するような質問ではなくオープン・クエスチョンを投げかける理由は、チームの知識のベースを広げ、潜在顧客がもたらすであろう新たなインサイト(洞察)を引き出すためです。多くのチームは、ユーザーの真のニーズを探求するよりも、根本的な課題の答えを自分たちの「思い込み(仮説)」に頼ってしまいがちです。
さらに探求を深めるため、チームはユーザーに対してバリュープロポジション(提供価値)をテストするためのランディングページを作成しました。なぜランディングページなのでしょうか? それは、素早く作れて具体的であり、潜在顧客の心に響くかもしれないプロダクトの最初の探求アプローチだからです。
チームは、旅行者と航空会社に焦点を当て、主要ステークホルダーに対するさらなるユーザーリサーチを行い、最も重要な仮説のリスクを軽減するための探求を続ける必要があることで合意しました。さらに、「もし消費者が炭素削減の取り組みを選択したことで報酬を得られるなら、彼らはそうするだろう」というセオリーを検証するためのデザインの実験も必要です。今回のワークショップはわずか2日間だったため、この実験は後日実施することに。
ワークショップにご興味を持たれた方は、ぜひMoonまでご連絡ください。組織、チーム、が解決しようとしている課題の根本を深く掘り下げるために、私たちがどのようにお手伝いできるか一緒に考えましょう。
お問い合わせは、hello@mooncreativelab.com まで。
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