2025/04/07
3月8日の国際女性デーは女性の功績を称える日であるほか、差別や偏見に対する意識を高め、差別や固定観念のない、男女平等で包括的な世界を作るための行動を加速させる機会でもあります。
Moon Creative Labは、3月中にさまざまな活動やディスカッションを通じて国際女性デーを祝福し、女性のエンパワーメント推進に注力しました。リーダーシップの役割における女性比率をどのように向上させるか、ジェンダーの固定観念にどのように取り組むか、イノベーションと起業家精神において女性をどのようにサポートするかなど、様々なテーマに取り組みました。
この記念すべき1か月間の幕開けとして、Moon東京スタジオでは、おもちゃのブロックを使ったワークショップを開催し、女性のエンパワーメントに焦点を当てたビジネスイノベーションのアイデアを参加者から募りました。
ワークショップは性別に関係なく誰でも参加できるものでした。合計22人の参加者をいくつかのチームに分け、おもちゃのブロックで物理的なプロトタイプを作成、新しいビジネスに名前を付けて、その提案を全員で共有しました。
ビジネスアイデアは、女性向けのヘルスケアアプリから、女性の社会的自信を育むことを目的とした排他的コミュニティなど多岐にわたりました。ワークショップのアクティビティを楽しみながら、それぞれの創造性を発揮し、アイデアを行動に移すきっかけをつくれたのではないかと考えています。
また、女性のエンパワーメントとは何かについて社内でディスカッションをする機会を設け、私たちが生活の中で出会う強い女性の存在を改めて認識することもできました。Moonのリーダーとチームメンバーがそれぞれパネルディスカッションをリードし、女性がどのように自身のキャリアに影響を与えてきたかを分かち合いました。
ある男性は、女性起業家と仕事をした際に共感の力を実感したと話しました。大変な話題や状況ではとくに、相手に寄り添う気持ち(共感)を情熱や経験と組み合わせて伝えることが、周りの人に「ちゃんと自分のことを見てくれているんだ」と感じさせる、強い力になっていたと感じたようです。一件些細なことでも、顧客への理解や、顧客のニーズを第一に考えている姿勢を示すことは、ビジネスとその影響力を強化することに役立ちます。
彼はリーダーシップポジションに就いており、他者の強みや日々の行動を見極めて「協力的な壁打ち相手」として行動する機会のある人物です。彼は、より男女平等な職場、社会を作るためのテーマのひとつとして、一人ひとりがいかに他人を助けられるかに注意を払うことが重要だと語りました。
「柔軟性のない働き方の要件や、“伝統的” な役割を求めるプレッシャーが、女性の活躍を著しく阻害している」
ディスカッションに参加したほかのリーダーは、自身のキャリアを振り返り、女性中心のプロダクトやサービスに関して、多くの女性創業者を目にするようになったことを嬉しく思うと語りました。そして、女性の健康やウェルネス、育児など、女性に影響を与える分野において、こんなことも話していました。「問題解決の方法を男性に “教えてもらう” ことには、あまり意味がありません」
彼女は、長年にわたって女性のエンパワーメントがどのように変化してきたかという質問に対して、男性優位の企業社会で唯一の女性であることが多かったと、過去を振り返りました。「私はただ、テーブルに座る席が欲しかっただけです」
現在リーダーシップポジションに就く女性が増えたことに対して、彼女は感謝し、嬉しく思っていると言います。しかし、どうすれば、もっと柔軟に、より多くの女性がリーダーの役割を担えるようになるのでしょうか?と彼女は問います。
その鍵は、「伝統的」ではない家庭や親の役割も認めることにあるでしょう。母親だけでなく、すべての親が子育てに責任を持つことをもっと広く受け入れる必要があります。ある男性は、妻と責任を分担し、妻のニーズや決断に柔軟に対応することを心がけていると語りました。「私は家族を優先し、妻と娘たちに力を与えるために行動しています。質問して、コミュニケーションをとり、彼らの決断をサポートしています。責任を分かち合い、親としての役割を柔軟にこなすことが、女性に力を与え、サポートするための核となります」
仕事のスケジュールや要件に柔軟性を持たせることも、キャリアアップの公平性を高めることに役立ちます。例えば、リーダーとしての役割は、出張の必要性などに大きく左右されるべきではありません。母親が子育てという責任を負っているがために出張ができないと思われてしまえば、女性の昇進を妨げることになりかねません。柔軟性に欠ける犠牲や、母親が会社勤めをせず家で子育てをするような「伝統的な」役割に留まることへのプレッシャーが、女性の昇進を大きく妨げています。近年、大きく前進しているとはいえ、その道にはまだ大きなハードルがあります。あるリーダーはこう語ります。「多くのことが変わりましたが、政治的な逆風がその進行を遅らせています」
そして、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)イニシアチブの重要性についての有意義な議論へと移るときに、彼女はこう付け加えました。 「DEIは収益に貢献します」
ここでの議論は、女性のエンパワーメントに関するリーダーやチームメイトの見解を聞く、インサイトに満ちたものでした。彼女たちの個人的なエピソードや、女性をエンパワーメントするためにどのような行動をとっているかを聞くと、全員が一人ひとり男女平等と公平性の推進に向かって役割を果たしていくことが重要だとわかります。
ディスカッションの要点
3月後半、Moonはベイエリアにある、キャリア構築に関心のある日本人女性コミュニティー「JWIBA」と共同で、イノベーションと起業における、女性の課題と機会に関する刺激的なパネルディスカッション「Beyond Bias: Unleashing Women's Potential(偏見を越えて:女性の可能性を引き出す)」を開催しました。
この議論には、創業者、最高経営責任者(CEO)、政府コンサルタントなど、リーダーとして活躍する5人の女性が参加し、それぞれのキャリアにおける個人的な道のりや乗り越えてきた障害について語りました。 「融通の利かない条件や、”伝統的な” 役割を求めるプレッシャー...... 女性の進出は大いに妨げられている。
イベントでは、イノベーション分野における女性の多面的な経験について掘り下げられ、さまざまな挑戦と勝利に関するストーリーが語られました。
パネリストたちは、厳しいキャリアを追求しながら家庭を築くときの微妙なバランス感覚、転居に伴う地理的・精神的な動揺、教育を通じて知識とスキルを追求し続けること、キャリアを軸に据える決断、職場に根強く残る微妙な偏見やあからさまな偏見、性別によって過小評価されるもどかしさなど、共通のテーマを浮き彫りにしながら、それぞれの個人的な旅路について率直に語りました。
あるパネリストは、有名ハイテク企業での名誉ある高待遇の職を辞し、起業という不確実な道に踏み出す決断をしたことを語りました。家族からは懐疑的な目で見られたそうです。会社勤めの安定を手放そうとする彼女の意志を理解するのに苦労したようでした。しかし、彼女はその疑念に屈することなく、疑念を野心への触媒として利用し、自らのエネルギーをベンチャー企業の創造と構築に注ぎました。
イベントでは聞き手の参加も力強いものでした。ある参加者が印象的な経験について語りました。男性投資家に自分のビジネスを売り込んでいるとき、彼女はあからさまなマイクロアグレッション(小さな攻撃性・意図せず無意識に人を傷つけてしまう行為のこと)に直面したと言います。彼女が資金調達額を述べたときに、その投資家は彼女が米ドルではなく円で資金を調達したのかどうかを質問し、経済的成功への不信感を暗に示したといいます。
何人かのパネリストは、貴重な教訓や励ましの言葉について語りました。ある人は、母親のアドバイスを思い出して共有しました。 「いつも自分自身でいなさい。やりたいことがあるなら、他人が何と言おうとやりなさい」
この言葉は深く心に響き、イノベーションを推進する上で、自信とレジリエンスはビジネスの洞察力と同じくらい重要であることを思い出させてくれました。
また、パネリストたちは、職場でメンターやスポンサーとなってくれた多くの男性を含め、ほかの人たちから受けたサポートについても思いを巡らせました。そして今、彼女たちはその支援をほかの女性たちに広げようとしています。あるパネリストはこう問いかけました。 「私は今、キャリアの中で遺産について考える時期に来ています。ほかの女性たちが通り抜けられるようなドアを開き、ときには自分で見つけられなかったような励ましやサポートを与えるために、私もなにができるでしょうか?ほかの女性たちが、自分たちが可能だと思う以上に到達するために、私はどのような機会を見出すことができるでしょうか」
「Beyond Bias: Unleashing Women's Potential(偏見を超えて:女性の可能性を解き放つ)」は、単なる対話ではなく、イノベーションにおける女性の支援と支持は、より大きな創造性、より強力なビジネス、そしてより包括的な未来につながるということを再認識させる、行動への呼びかけでした。
ディスカッションの主な内容
3月は国際女性デーと国際女性月間を記念する期間でしたが、男女平等の達成と差別の撤廃には継続的な努力が必要であることを私たちは知っています。私たちは、男女平等と公平性に関する対話を継続し、リーダーシップ、起業家精神、イノベーションにおいて女性の活躍のためのさらに強力な機会を構築できるようなイベントや活動をさらに開催することを楽しみにしています。
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