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ファッションの未来は、デザインを起点にした循環性にある

2026/01/15

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ファッションには周期的な巡り合わせがあります。古いものが再び新しいものとして認められることもあるでしょう。かつて、誰もがオーダーメイドで仕立てたスーツやドレスを持っていた時代には、受注生産の衣服はフィット感が優れているだけでなく、高い価値があり、長く持ち続けるもので、特別な意味を持っていました。

もうすぐ、そうした付加価値の高い、永続的なデザインの時代が戻ってくるのではないでしょうか。ただし、今回はファッションやトレンドを起点とするだけではなく、サーキュラーエコノミー(循環経済)の原則と結びついたテクノロジーによって推進されることになるはずです。

 

問題の規模と機会

2023年の世界の繊維生産量は1億2400万トンに達しました。これは年間約1000億点の衣料品に相当します。そして、ファストファッションによって、衣料品の使用頻度は大幅に低下しているようです。サーキュラーエコノミーを推進する組織であるエレンマッカーサー財団の発表(1)によれば、過去15年間で衣料品の生産長が倍増している一方で、その使用率は約40%近く減少していると言われています。

繊維製品のうち、新しい繊維として再利用される量は1%未満です。エレン・マッカーサー財団の指摘では、使用頻度とリサイクル性の低さによって年間5,000億ドルの損失が生まれていると言います。衣服が製造される前に生地の10〜15%が裁断くずとして失われています。システムを見直すいい機会だと言えます。

 

Variloom:オーダーメイドとテクノロジーの融合

オーダーメイドの精神、デザイン、フィット感、機能、そして将来再利用するために各プロダクトをカスタマイズしながら、形状に合わせて3Dプリントされるオーダーメイドの完成度を復活させようとしているのが、Moon発のベンチャーVariloomです。

Variloom社は、特許出願中のフィラメントを作成し、ソフトグッズ向けの3Dプリントシステムを設計しました。バイオベースのプラスチックからテキスタイル、農業廃棄物に至るまで、素材の配合から、材料の生産、プリントアウトなどのプロセス全体をデザインしています。裁断くず削減、大量の未加工テキスタイルの排除、生産の最小発注量(MOQ)の削減またはゼロ、そして巨大な商品在庫も不要です。同社はトリムを構造に直接埋め込むことができ、リサイクルが容易なモノマテリアル(単一素材)の衣服をデザインしています。

これは製造プロセスを顧客により近づけ、すべての衣服を使い捨てのトレンドとしてではなく、価値のある長寿命なものとして扱う、再均衡をはかるものです。

 

ナラティブに声を織り込む

Moonが開催したサステナビリティに関するディスカッションパネルでは、このビジョンをより明確にすることができました。エシカルなスポーツアパレルブランド「Earthletica」、3Dプリンティングで靴の製造を変革するスタートアップ「Koobz」、オーストラリア発のサーフブランド「Rip Curl」、3Dプリンティングシステムを開発する「Variloom」、ファスニング事業を手がける「YKK」が集まり、持続可能なファッションにおける取り組みを共有しました。ディスカッションの主要なテーマは以下の通りです。

循環性は製造よりもずっと前の段階から始まる

持続可能なプロダクト製造のライフサイクルは、素材の配合からデザインを開始する必要があり、あとで対応できる問題ではないことが強調されました。

Rip CurlとEarthleticaは共に、繊維の選択、裁断、構築、さらにはプロダクトの寿命が尽きた後の分解といった上流での決定が、どのように彼らのクリエイティブプロセスにおいて中心的になったかを共有しました。EarthleticaによるYKKの新しいAerie® Stringジッパー(テープなしのリサイクルファスナー)の成功は、機能性と循環性が両立し、同時にプロダクトの性能を向上できることを示しました。

最大の持続可能性問題?過剰生産

需要予測主導型の製造は、一定の割合のプロダクトが売れないまま破棄されるか、埋め立て地に送られる問題が指摘されています。

オンデマンドモデルや受注生産モデルは有望ですが、主要ブランドはいまだに従来の在庫管理システムとの関係が切り離せません。この技術的能力と運用上の準備との間にあるギャップは、この分野のボトルネックの1つであり続けています。Koobzのようなブランドによる受注生産は、サプライチェーンのボトルネックを回避し、積極的に廃棄物を削減し、埋め立て地に送られる衣料品の数を減らすことに役立ちます。

テクノロジーがサプライチェーンを再構築している

AI駆動の予測からデジタルツイン、電化された染色プロセス、3Dプリントされたアパレルコンポーネントにいたるまで、様々なテクノロジーが低炭素の未来実現の鍵として登場しました。

Variloomチームは、アディティブ・マニュファクチャリング( =積層造形 *材料を削る減法造形ではなく、材料を積み上げる加法造形)がいかにモノマテリアルの衣服を可能にし、分解とリサイクルをはるかに容易にするかについて議論しました。また、他のパネリストは、3Dデジタルサンプリングの可能性も強調しました。AIは、トレンド予測やバーチャル製品テストを支援し、製造が始まる前に過剰生産を防ぎ、早期の消費者フィードバックを収集するための新しい方法を提供できるかもしれません。

ファストファッションの影響は、製品の意図的な短命化よりも悪い

パネリストは、アパレルの問題は(テクノロジーに見られるような)意図的に短くされるプロダクトの寿命だけでなく、消費者の極めて短い衣服使用サイクルと、驚くほど低い着用回数にもあると強調しました。

対照的に、Rip Curlのような老舗ブランドは、60~70%の定番プロダクトラインを維持し、迅速な入れ替わりよりも耐久性を優先しています。

デザイナーだけでなく誰もが役割を担う

デザイナーが魅力と素材の選択を形作る一方で、真の持続可能性にはエコシステム全体での参加が必要です。

倫理的な素材調達の確保から、VC資金提供の優先順位、消費者行動にいたるまで、登壇者はすべてのステークホルダーと共有する責任についてや、循環的な未来に必要なツール、テクノロジー、アイデアはすでに存在するという心強い真実を強調しました。今必要なのは、デザイナー、ブランド、サプライヤー、規制当局、消費者も含めた連携であり、そのためのソリューションを責任を持って拡大することです。

サステナビリティはトレンドではありません。それは業界存続のための青写真であり、再発明のための機会です。ブランドの視点で見る企業にとっての循環性の意味と実践について、チームはそれをどのようにデザインに織り込んでいるかについて議論しました。

明らかになったのは、循環性を従来のビジネスに後付けすることはできず、デザインプロセスの早期段階で組み込む必要があるということです。形状に合わせてプリントし、必要なものだけを生産し、サプライチェーンを消費者に近づけることができれば、廃棄物の発生を減らすことができます。EUの繊維製品の分別収集義務化のような政策は業界を前進させていますが、本当の変化は、私たちがどのようにデザインし、生産し、消費するかという選択から生まれるでしょう。

 

循環性とオーダーメイドのトレンド:完璧な組み合わせ

ここで、ファッションの反復性が強力になります。オーダーメイドは単なる贅沢ではありません。それは品質、長寿命、フィット感を選ぶことです。それは、大量生産された売れ残りから、あなたのために作られたピースへのマインドシフトです。Variloomが行っているようなゼロウェイスト設計と循環ストリームと組み合わせることで、オーダーメイドは埋め立て地や過剰生産に対抗するためのツールになります。

エレン・マッカーサー財団のサーキュラーファッションエコノミーのモデルは、この転換を加速するものです。再利用のためのデザイン、再びつくり直すことができる素材、そして長寿命化、修理、リサイクルを通じて衣服の寿命を延ばすビジネスモデルです。オンデマンドでプリントされるものであれ、カスタム仕立てのものであれ、衣服を長持ちさせることは、過去の世代の価値観を再発見することなのです。

ファッションは一周まわって、パーソナルで、手づくりで、意味のあるものへと戻りつつあります。より速く、よりクリーンに、よりスマートに。それも、生地の再利用まで実現でき、持続可能にするためのテクノロジーや循環システムと共にです。

ファッションの未来は、ファストでも、リニアでも、使い捨てでもありません。重要なところではスローであり、求められるところではスマートであり、そしてそれらがデザインによって循環します。

Variloomのビジョンはシンプルです。倉庫の箱を減らし、工場の裁断くずを減らし、埋め立て地に送られる衣服を減らすことです。素材のイノベーションとローカライズされたオンデマンド生産を組み合わせることで、同社は顧客を喜ばせると同時に、地球を尊重するプロダクトを生み出すことができます。

私たちは、習慣と意識が交わる分岐点に立っています。トレンドは繰り返されます。今回は目的を持って繰り返しましょう。デザインの扉をくぐり抜けるのです。より良いファッションとは、倉庫の箱がより少なく、ゴミがより少なくなることであり、もっと私たちが身にまとうものに、魂をこめることでしょう。

 

・参考文献

(1)  Ellen Macartohur Foundation, Fashion and the circular economy – deep dive, Published on 16 September 2019

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